
「事故のあとから、指先がビリビリとしびれる…」
「病院のMRIでは『軽度のヘルニアはあるけれど、これがしびれの原因とは言い切れない』と言われ、ビタミン剤を飲み続けているけれど、一向に変わらない…」
交通事故のあと、こうした「原因のはっきりしない、しつこい手のしびれ」に悩み、不安な日々を過ごされている方は非常に多いです。

実は先日、当院に「事故から5年間、ずっと手のしびれと握力低下が取れない」という患者様がご相談に来られました。しびれのせいで、家事で皿洗いをしている時に、お皿を何度もポロッと落としてしまうほど深刻な状態。様々な医療機関や整骨院を回り施術を続けましたが、保険会社に通院の打ち切りを告げられ、後遺障害の認定ももらえず、そのまま5年近くを過ごし来院されました。そんな彼女のお身体を細かく診させていただき、無事にお悩みを解決することができました。
私は彼女のこの5年間のお話を聞き、本当に悔しい、やりきれない気持ちになりました。
なぜなら、もし彼女が事故の直後に当院を頼ってくださっていれば、5年も症状を引きずることなく、もっと早い段階でしびれを解決できていたはずだからです。さらに、当院が連携している専門弁護士と協力していれば、保険会社の強引な打ち切りに対抗し、正当な後遺障害の認定や補償を受け取ることができたはずなのです。
この記事では、彼女の5年越しのしびれを解決した「本当の真犯人」の正体と、なぜ薬や首の治療だけでは手のしびれが改善しないのか、その科学的なメカニズムを解説します。
【第1章】そのしびれ、本当に「首(ヘルニア)」が原因ですか?
病院では、手のしびれがあると、まず「首(頚椎)」のレントゲンやMRIを撮ります。もちろん、事故の衝撃で頚椎椎間板ヘルニアになることはありますが、画像診断で「異常なし」あるいは「年齢相応のヘルニア」と言われた場合、しびれの原因は「首(骨)」ではありません。
神経は、脳から指先まで伸びる「長いホース」
首から出た神経の束は、鎖骨の下を通って腕に伸びる「長いホース」のようなものです。
首は「蛇口」です。蛇口(首の骨)が壊れていなくても、ホースの途中を誰かが足で踏みつけていたら、当然、水(神経の流れ)は止まってしまいます。
多くの治療現場では、「首が原因でないなら、首の付け根(胸郭出口)の筋肉が神経のホースを踏んでいるのだろう」と判断しがちです。しかし、実はさらにその「下流」、二の腕や前腕のインフラ(通り道)が、事故の衝撃で完全に閉鎖(ロック)されているケースが多々あるのです。
【第2章】5年消えなかったしびれ。
真犯人は「2つのインフラ封鎖」だった
今回来院された5年越しのしびれに悩む彼女。私も最初は、小指側のしびれのラインから「尺骨(しゃっこつ)神経」の通り道を疑い、そこを優しくリリースしました。これによってしびれは少しマシになりましたが、どうしても「最後のしびれと、お皿を落としてしまう握力の低下」が取りきれませんでした。
そこで、さらに深く彼女の腕を診た時、私はある重要な事実に気づきました。
彼女の二の腕(上腕部)の内側から、肘、手首にかけて(前腕)が、まるで「一枚の硬い板」のようにパンパンに張っていたのです。
画像には絶対に映らない、彼女の腕の中で起きていた「2つの真犯人」がこちらです。
ストラザースのアーケード
(二の腕の内側の絞殺)
二の腕の内側(肘から約8cm上)にある、筋肉と筋膜でできた非常に狭いトンネルです。事故の衝撃による筋肉の緊張(スパズム)でこのトンネルがカチカチになり、小指へ向かう「尺骨神経」をギューッと絞め殺していました。
前腕のコンパートメント
(腕の部屋のパンク)
前腕の筋肉は、骨と「骨間膜」によって、いくつかの『部屋』に分かれています。事故の衝撃でこの部屋の圧力が異常に高まり、中を通る他の神経(正中神経・橈骨神経)の血管を押し潰して「神経の酸欠(虚血)」を起こしていました。

