腱板損傷

腱板損傷は肩関節の安定を保つ重要な筋肉群や腱に損傷が生じ、肩の痛みや腕の可動域制限を引き起こすことがあります。スポーツ選手や高齢者に多く見られ、症状が進行すると日常生活に支障をきたすことも。この記事では、腱板損傷の自己診断チェックリストや治療法、予防策までをわかりやすく解説します。肩の違和感を感じたら早めの対処が重要です。

腱板損傷の自己診断チェックリスト

以下の症状に当てはまる項目が多いほど、腱板損傷の可能性が高くなります。

  ☑ 肩に鈍い痛みがある
  ☑ 腕を上げると痛みが強くなる
  ☑ 夜間、肩の痛みで眠れないことがある
  ☑ 肩の力が入りにくい、または弱くなった感じがする
  ☑ 腕を後ろに回すと痛む
  ☑ 肩を動かすとカクカクした感じがする
  ☑ 肩関節の可動域が狭くなった気がする

3つ以上当てはまる場合は、腱板損傷の可能性があります。ただし、これはあくまで参考程度の自己診断です。正確な診断には医療機関の受診が必要です。

腱板損傷とは?

腱板は、肩関節を安定させ、腕の動きをコントロールする重要な役割を果たす4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱からなる構造です。腱板損傷は、これらの筋肉や腱に炎症や損傷が起こる状態を指します。

腱板についてはこちらで詳しく解説しています。

腱板損傷の症状と原因

主な症状

  • 肩の痛み(特に腕を上げる動作で増強)
  • 肩の可動域制限
  • 腕の脱力感
  • 夜間痛

主な原因

  1. 加齢: 年齢とともに腱の弾力性が低下
  2. 反復動作: 頭上での作業や投球動作の繰り返し
  3. 外傷: 転倒や衝突による直接的な損傷
  4. 解剖学的要因: 肩峰下の空間が狭い等
  5. スポーツ: テニス、水泳、野球などのオーバーヘッド動作を伴う競技
腱板損傷の原因の図解

腱板断裂について

腱板断裂は腱板損傷の一種で、より重度の状態を指します。

腱板断裂の特徴

  • 完全断裂と部分断裂がある
  • 急性(外傷性)と慢性(変性性)に分類される
  • 完全断裂の場合、保存療法では改善が難しく、手術が必要になることが多い

腱板断裂の症状

  • 腕を上げることが困難
  • 持続的な痛みと筋力低下
  • 肩関節の不安定感

腱板損傷の診断と治療法

診断方法

治療法

  1. 保存療法
    • 安静とアイシング
    • 消炎鎮痛剤の服用
    • リハビリテーション(ストレッチと筋力トレーニング)
    • 超音波治療や電気刺激療法
  2. 手術療法
    • 関節鏡視下腱板修復術
    • 開放手術

治療法の選択は、損傷の程度、年齢、活動レベルなどを考慮して決定されます。

類似疾患

腱板損傷と似た症状を示す疾患には以下のようなものがあります

  1. 肩関節周囲炎(五十肩)
    • 特徴:肩全体の痛みと可動域制限
    • 違い:年齢層が高く(50代以上)、自然治癒傾向がある
  2. 上腕二頭筋長頭腱炎
    • 特徴:肩の前面の痛み
    • 違い:腕を回内外する際に痛みが強い
  3. 石灰性腱炎
    • 特徴:急性の激しい痛み
    • 違い:レントゲンで石灰沈着が確認できる
  4. 肩峰下滑液包炎
    • 特徴:肩の外側部の痛み
    • 違い:腕を下げた状態でも痛みがある場合がある

腱板損傷の予防法と日常生活の注意点

  1. 適切なストレッチと筋力トレーニング
    • 肩周りの柔軟性と筋力を維持する
  2. 正しい姿勢の維持
    • デスクワークや睡眠時の姿勢に注意
  3. オーバーワークを避ける
    • 特に頭上での作業は適度な休憩を
  4. 適切なフォームでのスポーツ実施
    • 特にオーバーヘッド動作を伴うスポーツでは注意が必要
  5. 早期の対処
    • 違和感や軽い痛みを感じたら早めに対処

腱板損傷のまとめ

腱板損傷は、適切な診断と治療により、多くの場合改善が可能です。しかし、重度の損傷や完全断裂の場合は、手術が必要になることもあります。日常生活での予防と早期発見・早期治療が重要です。肩に違和感や痛みを感じたら、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。