
「服を着替える時、肩の奥で何かが引っかかる感じがする…」
「腕を上げようとすると、ある角度でズキッ!と痛む(でも上げきると楽になる)…」
「夜、寝ていると肩が疼いて、目が覚めてしまう…」
もし、あなたが今、このような症状を感じているなら。
それは、あなたの肩の中で「腱板(けんばん)」という重要な筋肉が、悲鳴を上げ始めているサインかもしれません。

病院で「腱板損傷(断裂)」と診断され、「手術しかないですね」と言われて絶望している患者様が、当院にはたくさんいらっしゃいます。
でも、安心してください。手術は「最後の手段」であり、「唯一の手段」ではありません。
この記事では、なぜその「引っかかり」が起きるのか、そしてなぜ当院では「手術なし(保存療法)」で多くの方が回復されているのか。その理由である「隠れ腱板損傷(筋膜の癒着)」について、包み隠さずお話しします。
この記事では「腱板損傷」の全体像を専門的に深掘りします。もし、ご自身の症状が何なのかまだ分からない方や、肩周りの不調全体の“分岐路”を知りたい方は、まず全ての記事の司令塔である『肩甲骨の教科書』からお読みいただくことをお勧めします。
もし、肩甲骨を動かす重要な筋肉である「回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)」の構造など、より専門的な解剖学に興味がある方は、まずこちらの専門書からご覧いただくのもお勧めです。
→ 『肩甲骨の解剖学』で筋肉の“設計図”を見る
その「引っかかり」の正体は? 危険なサイン「ペインフルアーク」
まず、あなたの肩の痛みが「ただの肩こり」なのか、それとも「腱板の危機」なのかを見極める、重要なサインがあります。
それが「ペインフルアークサイン(有痛弧)」です。

この症状が出ている場合、肩の内部で骨と腱が物理的に「衝突(インピンジメント)」を起こしています。
これを放置して使い続けると、擦り切れたロープのように腱がボロボロになり、最終的には「腱板断裂」へと進行してしまいます。
【新事実】痛みの真犯人は「断裂」ではなく「癒着」かもしれない
「えっ? じゃあやっぱり手術で繋がないといけないの?」
そう思われるかもしれませんが、ここからが当院の専門領域です。
実は、画像診断(MRIなど)で「腱が傷んでいる(切れている)」と診断されたとしても、痛みの本当の原因は別にあることが非常に多いのです。
| ステージ | 状態 | 主なサイン | 回復の見込み |
|---|---|---|---|
| ステージ① 機能的損傷 | まだ“切れていない”が、腱の質が劣化し、動きが悪くなっている「隠れ腱板損傷」の状態。 | 「力が入りにくい」「鈍痛」など、軽度な違和感。 | 根本改善の可能性が最も高い、希望のステージ。 |
| ステージ② 部分断裂 | 腱の線維の一部が、明確に断裂している状態。 | 動作時の明確な痛み。 | リハビリによる改善を目指すが、断裂の程度による。 |
| ステージ③ 完全断裂 | 腱が完全に切れ、機能不全に陥った状態。 | 「力が入らない(ドロップアームサイン)」「夜間痛」。 | 多くの場合、手術が検討される最終段階。 |
「隠れ腱板損傷(筋膜の癒着)」とは?
長年の炎症や衝突によって、腱板とその周りの組織(滑液包や筋膜)が、まるでボンドで固めたようにベタリと張り付いてしまった状態。私たちはこれを「隠れ腱板損傷」と呼んでいます。
この状態になると、腱が切れているかどうかにかかわらず、以下のようなことが起きます。
- 滑走不全: 筋肉がスムーズに滑らないため、動かすたびに引き攣れて激痛が走る。
- 夜間痛: 癒着した部分の内圧が高まり、寝ている時でもズキズキと疼く。
- 筋力低下: 痛みで脳がブレーキをかけ、力が入らなくなる(脱力感)。
つまり、「切れているから痛い」のではなく、「癒着して動かないから痛い」のです。
実際、この癒着を徒手療法(手技)で丁寧に剥がしてあげると、画像上の断裂はそのままでも、痛みなく腕が上がるようになるケースは多々あります。
当院のアプローチ 「癒着を剥がし、再発を防ぐ」
手術は、腱を糸で縫い合わせることはできますが、この「筋肉の癒着」や「動きのクセ」までは治してくれません。
当院では、手術を考える前に、まず以下の保存療法(リハビリ)を徹底して行います。
① 癒着のリリース(特に小胸筋・前鋸筋)
肩甲骨の動きをロックしている「小胸筋」や「前鋸筋」の癒着を、専門的な手技で剥がしていきます。これにより、肩甲骨がスムーズに動くようになり、腱板への衝突(ストレス)が物理的に減ります。
② 正しい軌道の再教育
癒着が取れたら、次は「痛くない腕の上げ方」を体に覚え込ませます。インナーマッスルを正しく使い、衝突を回避する軌道を習得することで、再発を防ぎます。
【結論】手術を決めるのは、やりきってからでも遅くない
「腱板損傷」という診断名に、どうか心を折らないでください。
あなたの肩が動かないのは、完全に切れてしまったからではなく、ただ「癒着して、サボっているだけ」かもしれないのです。
まずは、その癒着を剥がしてみませんか?
手術を検討するのは、保存療法をしっかりとやりきって、それでも痛みが取れない時、その時でも決して遅くはありません。
長岡京市で、手術を迷うほどの肩の痛みにお悩みなら、ぜひ一度なかの接骨院にご相談ください。
あなたの肩が持つ「回復する力」を、私たちが引き出します。
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