【腱板損傷とは?】夜も眠れない肩の痛み。その正体と、後悔しないための正しい治し方

腕を上げようとすると、肩に、激痛が走る。
夜、痛みで、目が覚めてしまう。
そして、腕に、力が入らない…。

もし、あなたが、そんな、つらい肩の痛みに、悩まされているのなら。
それは、単なる肩こりや、五十肩ではなく、肩を支える重要なインナーマッスル「腱板(けんばん)」が、傷ついている、危険なサインかもしれません。

この記事では、まず、ご自身の状態を把握するための「7つの自己診断チェックリスト」から始め、
腱板損傷の「本当の原因」、そして、後悔しないための「正しい治し方」まで、専門家が、その全てを、徹底的に、解説します。

腱板断裂のイラスト

【第1章】7つの自己診断チェックリスト

以下の症状に当てはまる項目が多いほど、腱板損傷の可能性が高くなります。

  ☑ 肩に鈍い痛みが続いている
  ☑ 腕を横から上げようすると、特に痛みが強くなる
  ☑ 夜、痛みで目が覚める事がある
  ☑ 腕に力が入りにくい、または弱くなった感じがする
  ☑ 腕を後ろに回すと痛む
  ☑ 肩を動かすとゴリゴリ、カクカクした感じがする
  ☑ 痛い方の肩を、下にして、眠ることができない

ただし、これは、あくまで目安です。正確な診断には、必ず、専門機関の受診が必要です。

【第2章】あなたの腱板に、何が起きているのか?

腱板とは? 肩甲骨から腕を包む、4つのインナーマッスル

腱板とは、肩甲骨から始まり、腕の骨(上腕骨)の先端を、四方から、包み込むように、付着している、4つのインナーマッスル(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の、腱の集合体です。この4つの筋肉が、連携して働くことで、肩関節は、安定し、そして、滑らかに、動くことができるのです。

腱板損傷とは、この、重要な腱板の一部、あるいは、全てが、傷ついたり、切れてしまったり(断裂)した状態を指します。

腱板についてはこちらで詳しく解説しています。

なぜ、傷ついてしまうのか? 4つの「主犯」

  1. 加齢による、変性: 40歳を過ぎると、腱そのものが、もろくなり、切れやすくなります。
  2. 外傷: 転んで手をつくなど、一度の、強い衝撃。
  3. 使いすぎ(オーバーユース): 野球の投球や、仕事での、腕を繰り返し上げる動作。
  4. 悪い姿勢(猫背・巻き肩): 悪い姿勢が、肩の骨と腱板の「衝突(インピンジメント)」を、常に、引き起こしている。
    この、全ての鍵を握る「悪い姿勢」について、その根本原因と、具体的な改善法を、知りたい方は、こちらの「専門書」が、必ず、役に立ちます。
     → 『【猫背の治し方】あなたの不調、全ての“黒幕”は「猫背」だった?』へ
腱板損傷の原因の図解

【第3章】「五十肩」との、決定的な違い

夜、痛くて眠れないなんて…これって、よく聞く“五十肩”とは、違うんですか?

院長
院長

はい、非常に、よく似ていますが、決定的に、違う点があります。五十肩は、肩関節全体が、カチカチに固まり、あらゆる方向に、腕が上がらなくなるのが、特徴です。

一方で、腱板損傷は、腱が切れていても、他の筋肉が代償して、痛いながらも、腕は、ある程度、上がることが多いのです。この、「上がるけど、激痛が走る」というのが、腱板損傷を、強く疑う、サインです。

→ 「その痛み、本当に五十肩?」より詳しい解説は、こちらの記事へ

類似疾患

腱板損傷と似た症状を示す疾患には以下のようなものがあります

  1. 肩関節周囲炎(五十肩)
    • 特徴:肩全体の痛みと可動域制限
    • 違い:年齢層が高く(50代以上)、自然治癒傾向がある
  2. 上腕二頭筋長頭腱炎
    • 特徴:肩の前面の痛み
    • 違い:腕を回内外する際に痛みが強い
  3. 石灰性腱炎
    • 特徴:急性の激しい痛み
    • 違い:レントゲンで石灰沈着が確認できる
  4. 肩峰下滑液包炎
    • 特徴:肩の外側部の痛み
    • 違い:腕を下げた状態でも痛みがある場合がある
腱板損傷と類似疾患の図解

第4章】後悔しないための、正しい「治し方」

ステップ① まずは「保存療法」。そして、リハビリが、全ての鍵

よほど重症でない限り、治療は、手術をしない「保存療法」から始まります。安静や、整形外科での注射で、まず炎症を抑え、その後、最も重要となるのが、専門家の指導のもとで行う、正しい「リハビリテーション」です。硬くなった関節の動きを取り戻し、弱ったインナーマッスルを、安全に、再教育していきます。

【専門家の視点】再生医療という、新しい選択肢

近年、部分的な断裂に対しては、ご自身の血液から、成長因子を抽出し、注射することで、腱の治癒力を高める「再生医療(PRP療法など)」という、新しい選択肢も、登場してきています。

ステップ② 手術という、最終的な決断

保存療法を、3ヶ月以上続けても、改善が見られない場合や、完全に断裂してしまっている場合には、関節鏡を使った、内視鏡手術が、検討されます。術後も、数ヶ月にわたる、根気強いリハビリが、不可欠です。

【結論】その「夜の痛み」は、体からの、SOS

腱板損傷は、「そのうち治る」と、軽視してはいけない、専門的な治療を要するケガです。特に、「夜、痛みで目が覚める」という症状は、あなたの腱板が、深刻な悲鳴を上げている、重要なSOSサインです。

そのサインを、どうか、見逃さないでください。
早めに、専門家(整形外科や、接骨院)に相談し、適切な診断と、治療を開始すること。それが、あなたの肩を、未来の、より大きな後悔から守るための、唯一の道です。