【成長痛】その膝の痛み、「成長痛だから」で、本当に大丈夫ですか?

「お子様のその膝の痛み、『骨の成長に筋肉が追いついていないだけ』と、様子を見ていませんか?」 その、昔ながらの“常識”に、実は、明確な科学的根拠がないことをご存知でしたか?

最新の研究では、4歳から6歳の子供の約30%以上が、原因の特定できない間欠的な足の痛みを経験すると報告されています。

実は、専門家の間でも、その“正体”が、完全には、解明されていない、原因不明の四肢の痛みに対する総称。それが「成長痛」です。

こんにちは。長岡京市のなかの接骨院です。

この記事は、私自身の苦い経験と、最新の医学的知見に基づき、「成長痛」という曖昧な言葉の裏に隠された科学的な可能性を解き明かし、親として、そして専門家として、何をすべきか、その具体的かつ論理的な“答え”を見つけ出すための、ガイドブックです。

この記事を読めば
  • 医学的に言われる“本物の成長痛”の本当の姿(3歳の夜泣きなど)
  • “本物の成長痛”と見分けるべき、“隠れた原因(むずむず脚症候群)”“危険な痛み(スポーツ障害)”という2つの鑑別疾患
  • そして、それらの痛みの裏に隠された“本当の原因”(構造・栄養・心理)

の全てがわかります。

その痛みは、単なる成長の一過程ではなく、体の構造と神経のバランスが許容量を超えているという、私たち専門家が読み解くべき重要な“サイン”なのです。


【第1章】“本物の成長痛”とは何か?

まず、この記事の主役である“本物の成長痛”について、その定義から典型的な姿、そして「なぜ夜に痛むのか」という科学的な機序まで、深く掘り下げていきましょう。

成長痛の「正体」
それは“病名”ではない

「成長痛」とは、厳密な、病名では、ありません。 それは「3歳から12歳頃の、子供が訴える、原因不明の、四肢の、痛み」に対する、総称です。 そして、その痛みは、みなさんがイメージする「膝」や「すね」だけでなく、時には「腕」に、現れることもあります。

典型的な姿
「3歳の夜泣き」と「さすると楽になる」の謎

“本物の成長痛”とは、具体的にどのような現象を指すのでしょうか。多くの方が経験するのが、3歳から6歳頃のお子様が、夜間に突然、理由のわからない足の痛みを訴えて泣き出すケースです。

ここで、非常に重要な観察ポイントがあります。
それは「さすってあげると、どうなるか?」です。

最新の研究では、「成長痛」と思われている症状の中に「むずむず脚症候群(RLS)」が隠れている可能性が指摘されており、「さする」という行為への反応が、この二つを鑑別する大きなヒントになります。

  • “本物の成長痛”の場合
    • 反応: 痛みが和らぎ、安心する。
    • 機序(なぜ効くか): これは「ゲートコントロール説」によるものです。皮膚をさするという心地よい触覚の刺激が、脳への痛みの信号をブロックするためです。
  • “むずむず脚症候群”が関わる場合
    • 反応: 自ら足を動かしたり、さすってもらうと明らかに楽になる素振りを見せる。
    • 機序(なぜ効くか): これは、運動によって症状が軽快するという、RLSの診断基準そのものです。

もし、お子様が後者の反応を示す場合、それは単なる成長痛ではなく、鉄欠乏などの栄養学的要因も関わるRLSの可能性を考慮すべきサインとなります。

なぜ、痛みは「夜」にピークを迎えるのか?
(最新科学が示す複合機序)

では、なぜ「成長痛」は夕方から夜間に集中し、朝には消えてしまうのでしょうか。その理由は、単なる筋肉疲労ではなく、日中の身体的ストレス夜間の脳の疼痛感受性という、複数の要因が複合的に作用する、より複雑なメカニズムにあることが最新の研究で示唆されています。

夜間、脳が拾い上げる「双つの要因」

1
身体的ストレスの蓄積と認識

日中の活発な活動で、筋肉や足の組織に微細なダメージが蓄積。夜になり体がリラックスモードに入ると、日中無視していた信号を脳が認識し、痛みとして表面化させる。

2
中枢神経系における疼痛感受性の増幅

成長痛を持つ小児は、健康な小児よりも疼痛閾値(痛みを感じ始めるレベル)が低い可能性が指摘されています。心理的ストレス不安が、この疼痛感受性を夜間にさらに増幅させ、軽度の不快感を「強い痛み」として知覚させていると考えられます。

この夜間の痛みは、「日中の活動量が体の許容量を超えている」ことと、「その痛みを強く感じてしまう神経の過敏性」という二重の警告なのです。

次の章では、この“本物の成長痛”と見分けるべき、2つの重要な鑑別疾患について解説します。


“本物の成長痛”と“危険な痛み”
を見分ける絶対的な基準

では、どうすれば、それが、様子を見て良い「成長痛」なのか、専門家の、診断が、必要な「危険な痛み(オスグッド病など)」なのかを、見分けられるのでしょうか。
その、答えは「日中の様子」にあります。

1

“本物の成長痛”
の可能性が高いケース


夜間に激しく痛みを訴えるが、翌朝になると、ケロッとしており、日中は普段通り、元気に走り回っている。

2

“危険な痛み”の
可能性が高いケース


日中の運動中や、運動後にも、痛みを訴える。あるいは、痛みをかばって、足を引きずるなど、普段の、動きに、変化が、見られる。

もし、後者に、当てはまる場合は、それは、成長痛ではなく、治療が必要な「スポーツ障害」の、可能性が極めて高いため、すぐに専門家へご相談ください。

【第2章】本当に成長痛?
見過ごしてはいけない“2つの鑑別疾患”

第1章で解説した“本物の成長痛”の診断を下す前に、必ず除外、あるいは考慮しなければならない、よく似た症状を持つ「2つの異なる状態」が存在します。

ここでは、その鑑別のポイントを、詳細な解説と共に見ていきましょう。
気になる項目をタップして、内容をご確認ください。

鑑別①:もしかして?「むずむず脚症候群(RLS)」

“本物の成長痛”と最も混同されやすいのが、この「むずむず脚症候群(RLS)」です。以下の4つの特徴が全て当てはまる場合、RLSの可能性を考慮する必要があります。

  • 脚を動かしたいという強い衝動がある。
  • その衝動は、座っている時や横になっている時に悪化する。
  • 歩いたり、脚を動かすことで、その不快感が和らぐ。
  • 症状は、夕方から夜間にかけて悪化する。

特に「動かすと楽になる」という点が、動きたがらない“本物の成長痛”との決定的な違いです。この症状は、脳内の神経伝達物質(ドーパミン)の機能障害や、鉄欠乏が関わっていると考えられています。

鑑別②:最も注意すべき「スポーツ障害(オスグッド病など)」

“本物の成長痛”が夜間に限定されるのに対し、スポーツ障害は「体の構造的な問題」と「運動による負荷」が原因で発生します。以下のサインが見られる場合は、成長痛ではなく、治療が必要なスポーツ障害の可能性が極めて高いです。

【危険なサイン】

  • 日中の運動中や、運動後にも痛みを訴える。
  • 痛みをかばって、足を引きずる(跛行)。
  • 痛む場所を押すと、特定の箇所に強い痛みがある。
  • 膝のお皿の下など、骨が出っ張ってきた。

これらの症状は、放置すると後遺症に繋がる可能性があります。特に、成長期の膝の痛みで最も多い「オスグッド病」については、以下の専門記事で詳しく解説しています。

【オスグッド病の“新常識”】なぜ、太もものストレッチが“危険な罠”になるのか?

これらの鑑別を踏まえ、次の章では、これらの痛みの背景にある、さらに深い“本当の原因”について掘り下げていきます。

【第3章】痛みの“本当の原因”はどこにあるのか?
最新科学が示す「4つの可能性」

「成長痛」の原因はまだ医学的に完全には解明されていません。しかし最新の研究によって、いくつかの有力な“原因候補”が浮かび上がってきました。お子様の痛みがどれに近いか考えるヒントにしてみてください。

可能性①
日中の活動による「筋肉疲労」

最もシンプルで有力な説です。子供の未熟な筋肉は日中の活発な運動によって、大人が思う以上に疲労しています。その疲労が、体が回復しようとする夜間に痛みとして現れるという考え方です。腕が痛むケースもこの可能性が考えられます。

可能性②
体の使い方による「構造的ストレス」

これは我々体の専門家が特に注目している視点です。扁平足浮き指O脚といった足元や脚のアライメントの問題は、歩行や走行の一歩一歩で、特定の筋肉や骨膜に異常なストレスをかけ続けます。その日中のストレスの蓄積が夜間の痛みの引き金となる可能性が指摘されています。

可能性③
栄養素の不足(ビタミンDなど)

最新の研究では「ビタミンD」の不足が成長痛に関与している可能性が報告されています。ビタミンDは骨の健康に不可欠であり、これが不足すると骨膜が過敏になり痛みを感じやすくなるという仮説です。

可能性④
心理的なストレス

家庭や学校でのストレスが体の痛みを増幅させることも少なくありません。特に痛みに敏感なお子様の場合、精神的な要因も無視できない一つの可能性です。

これらの可能性を理解することが、次の章で解説する「正しい対処法」の土台となります。

【第4章】親ができること、専門家がすべきこと

お子様の痛みの原因がどの可能性に近いかが見えてきたら、次に行うべきは「正しい対処」です。ここでは、ご家庭でできることと、我々専門家に相談すべきタイミングについて解説します。

まずご家庭でできること
安心と観察

痛みを訴える夜、まず最も大切なのは、お子様の不安な気持ちを受け止め、安心させてあげることです。

  • 優しくさする・マッサージする
    • 肌との触れ合いによる安心感は、お子様の痛みに対する過敏さを和らげます。また、これは「ゲートコントロール説」という科学的根拠に基づき、痛みの信号を脳に伝わりにくくする効果も期待できます。
  • 温める
    • 可能であれば、蒸しタオルなどで痛む場所を温めてあげるのも良いでしょう。血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる助けになります。
  • 何よりも大切なのは“観察”
    • そして最も重要なのが「観察」です。第2章で解説した「危険なサイン(日中の痛み、足を引きずるなど)」がないか、翌日以降のお子様の様子を注意深く見守ってください。

専門家への相談タイミングと、専門家が行うこと

以下のケースに当てはまる場合は、自己判断で様子を見続けず、我々のような体の専門家へご相談ください。

  • 第2章で解説した「危険なサイン」が一つでもある場合
  • 痛みの頻度が多く、お子様の睡眠や日常生活に支障が出ている場合
  • 親御さん自身が、原因が分からず強い不安を感じている場合

我々専門家の仕事は、痛みの“本当の原因”である、お子様の体の使い方や構造的な問題を見つけ出し、修正することです。第3章で解説した「構造的ストレス(扁平足・浮き指など)」といった問題点を専門的な視点で評価し、その子一人ひとりに合わせた最適なアプローチで、痛みの出にくい体へと導きます。

痛みの背景を正しく理解し、適切なステップを踏むことが、根本改善への最短ルートです。

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【結論】正しい知識が、子供の未来を守る

この記事を通して、「成長痛」という曖昧な言葉の裏に、実は3つの異なる可能性が隠されていることをご理解いただけたかと思います。

  • 夜間に限定され、日中は元気な“本物の成長痛(GP)”
  • 鉄欠乏などが関わる神経系の問題である“隠れた原因(むずむず脚症候群)”
  • そして、放置すれば後遺症にも繋がりかねない“危険な痛み(スポーツ障害)”

これらを「成長痛」という一言で片付けず、正しく鑑別し、観察すること。
それこそが、親御さんが持つべき、最も重要な視点です。

お子様が訴える痛みは、単なる成長の一過程ではありません。
それは、親御さんが正しい知識という光で照らし、その背景を読み解くべき、体からの重要なメッセージなのです。

その声に正しく耳を傾けることこそが、お子様の健やかな成長と、未来の可能性を守るための、我々大人の最も重要な責任です。

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