【まだ痛いのに…】交通事故の治療打ち切りを保険会社から打診された時の全対処法

「まだ痛いのに、保険会社から『そろそろ治療を終わりにしませんか?』と電話が来た…」
「このまま治療を続けたら、治療費を払ってもらえなくなるんだろうか…」

交通事故の治療中、多くの被害者が直面する、最もストレスフルで、理不尽な瞬間。それが、保険会社からの「治療の打ち切り」の打診です。

もしあなたが今、そんな不安と怒りの渦中にいるのなら、この記事は、あなたの“正当な権利”を守るための、最強の“武器”となります。

この記事を最後まで読めば、あなたは、保険会社のプレッシャーに屈することなく、ご自身の体を守り抜くための、全ての知識と具体的な行動計画を、手にすることができます。


【第1章】まず知ってください。治療の終了を決めるのは、保険会社ではありません。

結論から申し上げます。あなたの治療をいつまで続けるか、その最終的な判断を下す権利を持っているのは、保険会社の担当者ではありません。

それは、あなたの体を診察する「医師」と、治療を受けている「あなた自身」だけです。

では、なぜ保険会社は打ち切りを打診してくるのか?

その理由は、単に「治療費を払いたくないから」という単純なものではありません。そこには、保険業界の構造的な事情が隠されています。

保険会社が打ち切りを打診する2つの“裏事情”
  • 担当者の“業務上の都合”:保険会社の担当者には、多くの案件を早く解決するという業務上の目標(KPI)があります。「むちうちなら3ヶ月」といった社内の目安に基づき、治療が長引く前に示談交渉を進めたい、というのが彼らの本音です。
  • 自賠責保険の“代理人”としての立場:たとえ治療費が自賠責保険の枠内(120万円まで)に収まるとしても、任意保険会社は、自賠責保険のお金を管理する立場として、不必要な長期治療を抑制するよう努めるという側面があります。

つまり、彼らの打診は、あなたの痛みを軽視しているというよりは、彼らの“仕事の都合”と“業界の慣例”に基づいた、ある意味で“機械的な”アクションなのです。だからこそ、あなたは感情的になる必要はありません。ご自身の体の状態という「事実」を、論理的に主張すれば良いのです。


【第2章】やってはいけない“NG行動”と、あなたが取るべき“正しい初動”

保険会社から打ち切りの電話があった時、あなたの対応一つで、その後の未来が大きく変わります。

やってはいけないNG行動

  • 感情的に反論する
  • 言われるがまま、安易に「症状固定」に同意する
  • 痛みがあるのに、通院をやめてしまう

取るべき正しい初動

  • その場で即答せず、「主治医と相談してから回答します」と一度電話を切る
  • すぐに、通院している整形外科の“医師”に相談する

【第3章】状況を覆すための、具体的な“4つの武器”

武器①:医師の「診断書」と「意見書」

保険会社の主張に対抗できる、最も強力な武器が、医師による「まだ治療が必要である」という医学的判断です。整形外科の主治医に現状を伝え、必要であれば診断書や意見書を書いてもらい、治療継続の必要性を保険会社に明確に伝えましょう。

武器②:あなたの「通院実績」

定期的に、そして継続的に通院しているという事実は、「まだ痛みがあり、治療の意思がある」ことの何よりの客観的な証拠になります。痛みを我慢して通院を怠ると、「もう治ったんですね」と判断されても、反論が難しくなります。

武器③:“最終手段”としての「被害者請求」

もし、保険会社が治療費の支払いを一方的に打ち切った(一括対応を中止した)としても、治療を諦める必要はありません。「被害者請求」という、法律で認められたあなたの“権利”を行使するのです。

Q
Q. 「被害者請求」とは何ですか?
A

加害者側の任意保険会社を通さず、被害者であるあなたが、加害者の自賠責保険会社に直接、治療費や慰謝料を請求する手続きのことです。これに切り替えることで、あなたは任意保険会社の判断から独立し、医師が治療の必要性を認める限り、自賠責保険の限度額(120万円)まで治療を継続する権利を得られます。この「被害者請求」というカードを提示するだけで、保険会社が態度を軟化させることも少なくありません。

武器④:最強の切り札「弁護士特約」

そして、これら全ての手続きを、あなたに代わってプロに任せることができる最強の武器が、自動車保険の「弁護士費用特約」です。

Q
なぜ、弁護士が“最強”なのですか?
A

理由は2つあります。
1.交渉のプロであること: あなたに代わって、法律のプロが保険会社と対等に交渉してくれます。あなたの精神的な負担はゼロになります。

2.慰謝料が“弁護士基準”に増額される可能性: これが最大のメリットです。交通事故の慰謝料には、①自賠責基準、②任意保険基準、そして③弁護士基準(裁判基準)という3つの基準が存在します。弁護士が介入することで、最も高額である「弁護士基準」で慰謝料を請求することが可能になり、保険会社が最初に提示する金額から、大幅に増額されるケースが少なくありません。

▼この「弁護士特約」の具体的な使い方や、「弁護士基準」で慰謝料がどれくらい変わるのか、といった“お金”に関するさらに詳しい知識は、こちらの専門記事で徹底的に解説しています。
→ 内部リンク:【交通事故の保険と慰謝料】知らないと損する全知識|自賠責・任意保険から弁護士特約まで


【第4章】もし、弁護士特約がなかったら?【公的な相談窓口】

弁護士特約がない場合でも、泣き寝入りする必要はありません。全国には、無料で法律相談ができる公的な窓口が存在します。

法テラス(日本司法支援センター)とは?

「法テラス」とは、国によって設立された、国民がどこにいても法的なトラブルの解決に必要な情報やサービスを受けられるようにするための公的な機関です。

収入が一定基準以下であるなどの条件を満たせば、無料の法律相談や、弁護士費用の立て替え制度などを利用することができます。まずは「お近くの法テラス」に電話で問い合わせてみることが、次の一歩となります。


【結論】泣き寝入りしない。正しい知識と専門家を“味方”につけよう。

この記事で解説した知識は、保険会社と対等に渡り合うための、あなたの強力な“武器”です。

交通事故の治療打ち切りは、法的な知識と、医学的な根拠の両方が必要になる、非常に専門的な問題です。一人で悩まず、まずはこの記事の知識を手に、あなたの街の、交通事故治療に精通した専門家(接骨院や弁護士)に相談してください。

誠実な専門家であれば、必ず、あなたの体の回復と、正当な権利を守るための、最高のパートナーとなってくれるはずです。

交通事故治療の「全体像」を、もう一度確認する

この記事では「治療の打ち切り」という専門テーマを扱いました。事故直後の対応から、症状、保険の基本まで、交通事故治療の全体像をもう一度確認したい方は、こちらの親ページである『教科書』をお読みください。

→ 『【交通事故治療の教科書】むちうち・後遺症・保険の全知識|病院と接骨院の選び方』

【長岡京市・近郊にお住まいの方へ】

この記事では、全国の皆様に向けた普遍的な知識を解説しました。

もし、あなたが京都・長岡京市および近郊にお住まいで、この記事を書いた専門家に直接相談したい、あるいは、私たちの理念に共感していただけたなら、こちらの専門ページがあなたのための具体的なご案内となります。あなたの痛みと不安、私たちが全て解決します。

長岡京市で交通事故治療をお探しの方へ|なかの接骨院