【関節運動学】骨の「ズレ」を数ミリ修正するだけで痛みは消える

「手を挙げると肩の奥が詰まる」
「しゃがむと足首の前が痛い」

このような関節の痛みは、骨自体に異常があるのではなく、「関節の動きの軌道(レール)」が数ミリずれていることが原因かもしれません。

1. 関節の絶対ルール「凹凸の法則」

関節の骨の形は、先端が丸い「凸(とつ)」と、受け皿となる「凹(おう)」に分かれます。
運動学には「凹凸(おうとつ)の法則」という絶対的なルールがあります。

例:腕を上げる時(肩関節)
腕の骨(凸)が上に動くとき、関節の中では「下方向に滑る」必要があります。
もし、下に滑らずに上に転がってしまうと、肩の屋根にぶつかって激痛(インピンジメント)が走ります。

当院の徒手療法では、この「滑り」を手の力で補助しながら動かすことで、関節の噛み込みを解消します。

2. 痛くない矯正「マリガン・テクニック」

世界的に有名な手技概念に「MWM(Mobilization With Movement)」があります。
これは、セラピストが関節のズレを修正した状態で、患者さん自身に動いてもらう方法です。

「あ、この角度で押さえてもらうと痛くない!」
痛くない軌道を身体に学習させることで、即時的に可動域が改善します。

3. 揺らすだけで痛みが消える?(ゲートコントロール)

急性期で触るのも痛い関節に対し、当院では「微細な振動(揺らし)」を加えることがあります。
これは「ゲートコントロール理論」の応用です。

関節の動きを感知するセンサー(メカノレセプター)は、痛みのセンサーよりも脳に伝わる速度が速いという特徴があります。
優しく揺らし続けることで、「動きの情報」が脊髄のゲートを閉じてしまい、痛みの信号が脳に届かなくなるのです。

まとめ

関節は力ずくで引っ張っても治りません。精密機械のように、正しい軌道へ誘導する必要があります。
「詰まるような痛み」がある方は、ぜひ一度ご相談ください。