【一目でわかる】肩甲骨の解基本的な構造と、専門家だけが知る“3つの面白い秘密”

肩甲骨の構造、複雑で、覚えられない…。
学生の方、トレーナーの方、そして、ご自身の体への知的好奇心を満たしたい、全ての方へ。

このページは、そんなあなたのための「究極のカンペ」であり、そして、「知のエンターテイメント」です。

難しい解説は、後回し。
まずは、この記事の「結論」と「一枚の図」、そして、あなたがきっと誰かに話したくなる「3つの面白い秘密」だけ、頭に入れてください。
それだけで、肩甲骨の全てが、好きになります。


【結論】肩甲骨とは、2枚の「浮いている骨」と、それを操る「17本のロープ」である

難しい言葉は、一旦、忘れてください。肩甲骨の構造は、極論、これだけです。

  1. 2枚の「骨(プレート)」が、背中の上で、浮いている。
  2. そのプレートに、前後左右から、無数の「筋肉(ロープ)」が、繋がっている。
  3. 脳が、そのロープを、巧みに、引いたり、緩めたりすることで、腕は、自由自在に動く。

これからお話しする、全ての複雑な解剖学は、この、シンプルな原則の上に、成り立っています。


【図解】全ての基本となる、一枚の地図

肩甲骨を前から見た図

肩甲骨を前から見た解剖図。烏口突起や関節窩、上腕骨頭など、肩関節の主要な骨の構造が、一目でわかるイラスト。
肩甲骨を前から見た図

肩甲骨を後ろから見た図

肩甲骨を後ろから見た解剖図。肩甲棘や肩峰、回旋筋腱板が付着する溝など、肩甲骨の裏側の詳細な構造を示すイラスト。
肩甲骨を後ろから見た図

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  • 僧帽筋(そうぼうきん):首の後ろから肩甲骨にかけて広がる筋肉で、肩甲骨を上げたり下げたり、回転させたりする動作に関与します。
  • 広背筋(こうはいきん):背中の下部から肩甲骨に付着する大きな筋肉で、肩を後ろに引いたり、腕を回す動作をサポートします。
  • 菱形筋(りょうけいきん):肩甲骨の内側に位置し、肩甲骨を内側に引き寄せる役割を果たします。
  • 肩甲挙筋:肩甲骨の上に位置し肩甲骨を持ち上げます。
  • 前鋸筋(ぜんきょきん):胸郭の側面から肩甲骨の内側に付着する筋肉で、肩甲骨を前方に引き出す動作をサポートします。
  • 小胸筋:関節窩を前下方に引き下げます。
  • 回旋腱板(かいせんけんばん):ローテーターカフとも呼ばれる肩甲骨を覆うようについている筋肉です。これらは上腕骨(腕の骨)に付着し肩関節の安定を保っています。ここ臨床では非常に重要
    1. 棘上筋
    2. 棘下筋
    3. 小円筋
    4. 肩甲下筋
  • 大円筋:肩甲骨の下方から始まり上腕骨の前側につく筋肉

肩甲骨の自由な動きを支えているのが、僧帽筋、菱形筋、そして、肩の深層部にある“ローテーターカフ(回旋筋腱板)”といった、数多くの筋肉です。これらの筋肉が、オーケストラのように調和して働くことで、私たちの腕は、自由自在に動くことができます。


【専門家の“ここが好き!”】肩甲骨の、面白すぎる「3つの秘密」

秘密① 肩甲骨は、「前から」も、触れる。

多くの人が、肩甲骨は背中側だけの骨だと思っています。しかし、実は、鎖骨の下あたりを、指でぐっと押し込むと、「烏口突起(うこうとっき)」という、カラスのくちばしのような、肩甲骨の一部に、直接、触れることができるのです。ここには、腕の重要な筋肉(上腕二頭筋の一部など)が付着しており、肩の不調の、隠れた原因となっていることも、少なくありません。

秘密② 腕を上げる時、肩甲骨は、美しく“回転”している。

あなたが腕を真上に上げる時、実は、肩関節だけが動いているわけではありません。肩関節が120度動くのに対し、肩甲骨が、連動して、60度、美しく「上方回旋」する。この、「2:1の、肩甲上腕リズム」という、絶妙な連携プレーがあって、初めて、私たちの腕は、スムーズに、180度、上がることができるのです。

秘密③ 腕が、ある角度でだけ痛むなら、それは“衝突”のサイン。

もし、あなたが腕を上げていく途中の、60度から120度の間だけで、痛みや引っかかりを感じるなら。それは、「ペインフルアークサイン(有痛弧徴候)」と呼ばれる、肩のインナーマッスル(棘上筋など)が、肩甲骨の一部(肩峰)と、衝突(インピンジメント)している、危険なサインかもしれません。


【専門家の部屋】肩甲骨の「おもしろさ」を、覗いてみる

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(ここに、アコーディオンブロックを設置)

多くの「肩甲骨はがし」が、この、地味で、しかし、あまりにも重要な「前鋸筋」の存在を見落としている。それが、私が、この記事を書こうと思った、一つの、大きな理由でもあります。

骨の名称 ここだけは、覚えておきたい「5つのランドマーク」

  • 肩峰(けんぽう): 肩の最も外側にある、屋根のような骨。
  • 烏口突起(うこうとっき): 鎖骨の下にある、カラスのくちばしのような突起。胸の筋肉が付着する。
  • 関節窩(かんせつか): 上腕骨の受け皿となる, 浅いくぼみ。
  • 肩甲棘(けんこうきょく): 肩甲骨を上下に分ける、背中側の大きな突起。
  • 肩甲骨下角(けんこうこつかかく): 肩甲骨の下の、尖った部分。腕を上げる際に、ダイナミックに外側へ動く、重要なポイント。

筋肉リスト 肩を安定させる「4大インナーマッスル(回旋筋腱板)」

肩関節を、深層部から、全方向で支える、最も重要な4つの筋肉、それが「回旋筋腱板(ローテーターカフ)」です。これらは、上腕骨の先端(大結節・小結節)に付着し、肩関節の安定と補強に、絶大な役割を果たしています。

回旋筋腱板
(ローテーターカフ

  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 小円筋
  • 肩甲下筋
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の画像
回旋筋腱板(ローテーターカフ)

【専門家の“ここが好き!”】全ての鍵を握る、地味で、すごい筋肉「前鋸筋」

さて、ここからは、少しマニアックな話をします。肩甲骨には、数多くの筋肉が付着していますが、私が、個人的に、最も「面白い!」と感じ、そして、最も「重要だ」と考えている筋肉が、一つあります。

それが、「前鋸筋(ぜんきょきん)」です。

前鋸筋の画像
前鋸筋の停止部のわかりやすい画像

その正体は、影の支配者この筋肉、非常に地味です。しかし、その働きは、まさに「影の支配者」。脇の下、肋骨の外側から始まり、なんと、肩甲骨と肋骨の「間」を通り抜けて、肩甲骨の裏側(前側)に、付着しているのです。

この、一見、地味な筋肉こそが、

  • 肩甲骨を、肋骨に、安定して“貼り付けておく”ための、最も重要な「安定筋」であり、
  • ボクサーの力強いストレートや、ベンチプレスでの爆発的な挙上を、可能にする、力の伝達路であり、
  • そして、多くの「翼状肩甲(翼のように、肩甲骨が浮き出てしまう状態)」の、根本原因となっているのです。

「呼吸」さえも、支配する

さらに、驚くべきことに、前鋸筋は、「呼吸」にも、深く関わっています。その筋肉は、上部と下部で、全く逆の働きをするのです。

  • 上部は、息を吸う時に、肋骨を引き上げ
  • 下部は、息を吐く時に、肋骨を引き下げる。この、絶妙な連携プレーが、私たちの、深く、そして安定した呼吸を、支えているのです。

あなたのパフォーマンスは、この筋肉が、目覚めるのを待っている

私自身、長年水泳をしていますが、この「前鋸筋」を、意識的に使えるようになって初めて、腕の動きが、体幹と、本当の意味で、繋がりました。

【応用編】なぜ、この知識が、あなたの“痛み”と関係するのか?

さて、この「カンペ」を、手に入れた、あなたへ。

では、なぜ、あなたの、この素晴らしい“翼”は、痛み、ゴリゴリと音を立てるのでしょうか?その、痛みと不調の「本当の原因」と、具体的な「解決策」については、こちらの「教科書」で、詳しくお話ししています。

→ 『【肩甲骨の教科書】痛みとゴリゴリ音の正体と、本当に効くセルフケア大全』へ、リンク

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