交通事故に遭い、治療や保険会社との対応に追われる中で、多くの方が見落としてしまう“もう一つの権利”があります。
それは、あなたがご自身で加入している「傷害保険」です。
この記事では、交通事故と「傷害保険」の、意外と知られていない関係性と、あなたが損をしないための正しい知識を、専門家が分かりやすく解説します。
【第1章】傷害保険とは？自賠責保険との“決定的な違い”
まず、2つの保険の根本的な違いを理解しましょう。
自賠責保険
目的：交通事故の「被害者」を救済するための、国が定める最低限の補償。
誰が払うか：加害者側の保険会社が、被害者に対して支払う。
性質：賠償金
傷害保険
目的：理由を問わず「ケガ」をした契約者自身を助けるための、個人的な備え。
誰が払うか：あなたが契約している保険会社が、あなた自身に支払う。
性質：給付金
つまり、これらは全くの別物。だからこそ、条件さえ満たせば、両方から給付を受けることができるのです。
【第2章】知らないと損！交通事故で傷害保険を使うためのQ&A
ここからは、あなたが最も知りたいであろう、具体的な疑問にQ&A形式でお答えします。
- QQ. 交通事故の治療でも、本当に傷害保険は使えますか？
- A
はい、使えます。傷害保険は「急激かつ偶然な外来の事故」によるケガを補償するものであり、交通事故はまさにそれに該当します。自賠責保険から治療費が支払われているかどうかに関わらず、ご自身の契約内容に基づいて給付金を請求する権利があります。
- QQ. どんなお金がもらえるのですか？
- A
契約内容によりますが、主に以下の給付金が対象となります。
・通院給付金：通院した日数に応じて支払われる（例：1日3,000円など）。
・入院給付金：入院した日数に応じて支払われる。
・手術給付金：手術を受けた場合に支払われる。
・後遺障害保険金：後遺障害が認定された場合に支払われる。
- QQ. 傷害保険を使うと、自動車保険のように保険料は上がりますか？
- A
いいえ、上がりません。傷害保険には自動車保険のような等級制度がないため、給付金を請求したことによって翌年以降の保険料が上がることはありません。使える権利があるなら、使わなければ損です。
- QQ. どうやって請求すればいいですか？
- A
まず、ご自身が加入している保険会社（生命保険の特約など、様々な形があります）に連絡し、「交通事故でケガをしたので、傷害保険の給付金を請求したい」と伝えてください。必要な書類（請求書、医師の診断書、通院証明書など）が送られてくるので、それに従って手続きを進めます。不明な点は、保険会社の担当者に遠慮なく質問しましょう。
【結論】あなたの“権利”を見逃さないで
交通事故後の手続きは複雑で、精神的にも大きな負担がかかります。そんな中で、ご自身が加入している傷害保険のことまで、頭が回らないかもしれません。
しかし、それはあなたが保険料を支払って備えてきた、正当な権利です。この知識が、あなたの経済的な不安を少しでも和らげる一助となれば幸いです。
まずは、ご自身の保険証券を確認し、傷害保険や医療特約に加入していないか、チェックすることから始めてみてください。
この記事では「傷害保険」という専門テーマを扱いました。事故直後の対応から、むちうちの症状、自賠責保険の基本まで、交通事故治療の全体像をもう一度確認したい方は、こちらの親ページである『教科書』をお読みください。
【長岡京市・近郊にお住まいの方へ】
この記事では、全国の皆様に向けた普遍的な知識を解説しました。
もし、あなたが京都・長岡京市および近郊にお住まいで、この記事を書いた専門家に直接相談したい、あるいは、私たちの理念に共感していただけたなら、こちらの専門ページがあなたのための具体的なご案内となります。あなたの痛みと不安、私たちが全て解決します。
